統合失調症と向き合う

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aopon2008さん
aopon2008さん
1987年生まれの27歳(収録時)。19歳の大学浪人中に体調を崩すが受診することなく、大学に入学する。大学2年生時に妄想などの症状が激しくなり、精神科を受診する。入院経験は無い。大学を中退。現在は、病院デイケアの就労サポートにより企業にアルバイトとして就職し、2014年8月から正社員として勤務している。起業家を目指している。大学の精神医学の授業で講演を行った経験を持つ。最近は友人のアドバイスでおしゃれに気遣うことになった。一人暮らし。
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11就労について
Q.現在の職場で働くようになるまでの経緯を教えてください

「昨年(2013年)の7月から働き始めて、今、(2014年)9月なので2年目です。

現在の職場は、A病院のデイケアのスタッフさんと一緒に、ハローワークの職員さんのアドバイスのもと、自分でハローワークのパソコンの検索機能を使って探しました。そのあとA病院のデイケアのSSTというものがあるのですが、これは社会技能訓練とか、他の呼び方もあるのですが、そこで、就職の面接の練習を行って、実際にその後面接をして…。今の会社の面接のあとは次の日ぐらいに電話がかかってきて『一緒に働きませんか?』と言われたので働くことにしました。

今の会社を選んだポイントは、最初はどこでも働かせていただくつもりでいたのですが、最初に紹介されたところは、最初パソコンの作業をするということを聞いていたのですが、行ってみたら荷物運びみたいな仕事だったので、僕はパソコンが結構得意ということもあって、事務的な仕事のほうが向いているのではないかというスタッフさんからのアドバイスなどもあって、決めたのはもちろん自分なのですが、そこはお断りしました。

書類選考が通って面接までいって、面接の結果、時間が合えば内定というところも2つあったのです。『時間が合えば』というのは、その頃はやはりいくらリハビリをしていたといっても、仕事になるとやっぱり疲れ方が違うだろうしということで、お医者さんが最初は2時間から働けるところにしてほしいということがあったので、2時間から働けるところという条件をこちらが提示して、それを受け入れてくれたところが今の会社です。応募して5社目ぐらいで今の会社に当たって、働くことにしました。」

SST(Social Skills Training):「生活技能訓練」または「社会生活技能訓練」と訳され、認知行動療法に基づいたリハビリテーション技法。社会で生活していくために、対人関係を良好に維持する技能を身につけ、自信を回復し(QOLを高める)、ストレス対処や問題解決ができるスキルを習得(再発防止)する目的がある。

Q.働く上で気をつけていることはありますか

「働きはじめて、最初はやはり副作用の影響か分かりませんが、眠気との闘いでした。はじめの頃は栄養ドリンクを飲んだら眠気が取れるということに気づいたのですが、栄養ドリンクを毎日飲むのも体に悪いかなと思ったので、コーヒーを飲むことにしました。コーヒーを飲んだら、それでも目が覚めるということに気づいたので…。」

Q.勤務時間がフルタイムになるまでどれぐらいの期間かかりましたか

「フルタイムになるまでには、7〜8か月ぐらいかかりました。

最初は2時間というのは1週間ぐらいだったのですが、次の週から3時間ぐらいにして、3時間から4時間になるのが、ひと月ぐらいですかね。そこから、ひと月かふた月に1時間ずつぐらいで延ばしていって、8か月ぐらいでフルタイムになりました。

今はもう全然疲れないですね。」

Q.精神に障害をお持ちの方が就労できるようになるために必要なことは?

「それは、ありましてですね。まず1つは、その人に合わせて対応するということが必要になってくると思います。私の場合であれば短時間から仕事に慣らしていくことが、1つ、必要だったことだと思っています。他の、私が聞いたことのある話では、例えば電話で知らない人と話すのが苦手というような方とかは聞いたことがありますね。

やはり基本的には短時間勤務になる方が多いのかなという話もよく聞きます。ただ中にはフルタイムで働ける方もいらっしゃるので、やはりその人に合わせたケースバイケースでの対応が大切になるのではないかと思っています。

今のことは、雇用者側とか周囲の人の配慮ということなのですが、患者さん側も、自分がどこまでできるかをはっきりと認識しておくことが必要で、それを周りに伝えること。また働きたいから働くといいますか、ぜひ働きたいですというアピールを、患者さん側もしていくことが大切ではないかと思っています。」

Q.大学生向けに講演をされたそうですが

「ある大学で精神医学の授業があったのですが、その授業の一コマの中の10分ぐらいの間、190名ぐらいの大学生と、授業をしている先生相手に、自分の今までの体験といいますか、特にその中でもどうやって就労に結びつけたかみたいな話をしてきました。

その精神医学(の授業)で話すことになったきっかけは、A病院のデイケアから、誰か話してくれないかということを、精神医学の先生から、話がスタッフさんにいったのですが、そこでスタッフさんのある方が、僕が結構回復してきていたということもあって、(僕が)話をしたら面白いのではないかと提案してくださったそうで、それで僕のほうに話がきました。

僕は、この病気は、なんと言いますか、まだまだ偏見とかもあるかもしれないのですけども、しっかりとリハビリをして服薬して、自分の考え方というか、それを変えたりして、治療すれば、ちゃんと寛解(かんかい)やリカバリーができるということをみんなに知ってもらいたかったので、そのオファーを快諾しました。」

寛解(かんかい):病気の症状が継続的に消失した状態。再発する可能性もあり、治癒とは異なる。
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