統合失調症と向き合う

体験者の声 医療者・支援者の声 家族の声 私たちの活動紹介 イベント おしらせ
近藤健亮さん
近藤健亮さん
(こんどう たけあき)
1980年生まれの37歳(収録時)。25歳でIT企業に勤めていた時に発症し、精神科病院を受診し、統合失調症と診断。入院経験はなし。発症後は、障害を伏せて派遣の仕事に従事するが、うまくいかず、現在は、就労継続支援B型事業所(点字名刺の刻印作業を行っている)で週5日、事務作業に従事している。女性アイドルグループの楽曲を聴くことが好き。
movieImage
<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  >>
7現在の就労
Q.今、働けるようになったきっかけを教えてください

「(今の作業所)で仕事をするようになって、本当に自分はここまでできたのだなとか、ここまでできる(ようになった)だったんだなということを本当に良くしていくにつれて自分の中での感触というものをつかみとれるようになってきたのですね。正直な話。

特に今の(作業所の)スタンスというのが、それぞれの病気、まあ統合失調症といってもいろんなタイプがありますよね。それぞれの特徴に合わせた、活かして、仕事を、時間の設定をしてくださっているし、中身も適宜、おのおのに合ったものをお願いしますというスタイルでやっているので。

20代の頃に事務作業をさせていただいておりまして、特にパソコンが得意なのですね。これも学生の頃からずっとやっていたのですけど、ここも活かして、一連の事務仕事をまかされている部分があったので、ここも活かして、一連の事務仕事をまかされている部分があったので、事務仕事をやっていましたし、普通の会社で20代の頃に働いていた時もやっぱり事務仕事やっていましたし。あと、お試しという形で就労移行支援事業所に行って、職能(能力)評価テストというか試験的なものをやったり、訓練ということも実際に受けたということもあったのですね。そこで得られたノウハウというものを今の仕事でもそれなりに活かせている部分もあるのですね。」

Q.現在通っている作業所にはどのようにつながったのでしょうか

「支援機関のほうから『こういう(作業所が)最近できたのですけど行ってみませんか』というお話しをいただいて、見学に行ったのですね。支援機関の人と一緒に。

そこで作業所の所長さんから一度1週間行ってみませんかというお話しをいただいて、そこで1週間の研修期間にいろんな仕事をやらせていただいて、それで『ぜひ来てください』ということになって。正式な形でその今の作業所に行くようになってからは、ほぼ事務仕事に専念する形になったのですね。」

Q.事務作業の内容を教えてください

「先ほど申しましたようにお客様対応ですとか、あるいはお預かりしたものの管理ですとか、お客様の刻印もれがないかのチェックということを中心にやっていますね。メールとか、紙の文書を作ってそういったことをやるのが中心ですね。

(客と)面と向かってということではないのですけど、私の仕事ぶりが結構、作業所(のスタッフ)からとか同僚達からも結構良くて、もうすぐ2年目になるのですけど、それでお客様からお褒めの言葉をいただいたり労いの言葉をかけられたりして。それで、逆に(作業所のスタッフ)からお客様に自分の話が及べば紹介するというパターンももちろんありますね。

そして特に大きい取引先の方にも自分の名前を憶えていただけるという、直接お褒めのお言葉をいただけるというのが本当にいちばん、メールとか文書、お手紙でお褒めをいただくこともあるのですけど、それだけでも本当にうれしい限りで。自分は本当に普通のことをしているのだけど、それをお客様とか作業所などからしっかりやっているというふうに認められるようになる。そういう部分で本当にやりがいというものが感じますね。」

Q.社会福祉サービスを利用していますか

「自立支援の申請から始まってそのあと手帳を取得しました。それから相談支援事業所というのも設定していただいて作業所で仕事するにあたって今も、その前もそうなのですけど。こちらは、前の作業所に行っていた時からの関係ですので、もう3年目になるのです、この秋で。

行っているというか、いろいろと悩んだことがあったり、昔からいろいろ通うのに便利ですしね。あとそれ以外では関係があるのは地元、うちの県というのは特に精神障害に対する支援が、どちらかというと充実しているほうなのですね。特化した就労移行支援事業所というのが地元の隣の市にありますけど。で、(この就労移行支援事業所を、こちらも)隣の市になるのですけど障害者就業(生活)支援センターの所長さんに紹介していただいて、それ以降就労に関する相談はそちらにシフトさせていって、今も(職場)定着支援、個別の面談とかで関係は続いていますね。」

Q.今は自分に合った仕事に出会えたわけですね

「学生の頃、いろいろ勉強したことを基盤に役に立っていますし、20代の頃、いろいろ(あって辛かったけれども)、一貫して事務職をやってきていたアドバンテージもあるし。

直近で言えば就労移行支援事業所で訓練を受けたり職能評価を受けたという部分が今も、そういうのを承知で受けて今の作業所ではそういった事務仕事に専念をするというやりやすい環境で仕事をさせていただける。本当に作業所のスタッフに感謝していますし、それに自分の仕事ぶりを認めてくださっている作業所のほかの障害者の方も含めてになるのですけど、とにかく同じ作業所で一緒にする人達に対しても本当に感謝していますね。」

Q.精神障害をお持ちの方が就労するために必要なものは?

「そうですね、まず精神障害に偏見を持たないことが、精神障害イコール悪というふうに取らないでですね。自分も実は発症するまでは精神障害とかは悪いというイメージがあったのですけど、自分が実際にそういうのになってみて、精神障害であっても、ああそれなりのライフスタイルというのがあるなというふうに考え方がだんだん変わってきて。だから精神障害の中でも悪いっていうのはほんの一握りだというのを、みんなにも持ってほしい、これを見ている皆さんにも持ってほしいなというふうに少なくても思ってますね。

それでもっと外で活動できる場を、行政にしても受け入れる、行政以外でも受け入れる側にしてもちょっと広げてほしいなという思いはありますね。それで仕事をしていく上でフォローする側もやはり病気について理解してほしいと……。

症状というのはそれぞれ違うからそれぞれに合わせたものを、環境や(その)環境に沿ってセッティングしないといけないかなというふうに。本当にそうしないと良くなるべきものも良くならないし、支える側にとっても悪いというイメージが変わらないというふうに、今考えていますね。」

Q.疲れやすいですか

「やはりそうですね。他のスケジュールがない時はもうほとんど土曜日の午前中と日曜日を除けば作業所に出勤しているという状態なので。

だから本当に今の作業所に行くようになってからは仕事そのものに対する考え方もそれ以前とは大きく変わりましたよね。例えば、仕事が終わったあとも、ああ、あそこはこうするべきだったかとか、あそこはこうだったかなというふうに思うことも、ほとんどですし、今。昔はもう仕事が終われば『ああ、仕事終わった、さあ違うことやろう』という感覚が本当にあったので、だから。

でも今は、オンとオフの使い分けもしっかりもちろん自分なりにやっているのですけど、それでもどうしても自分が他の用事とかで作業所を休まないといけない時に、『ああ、自分がいない時、この仕事大丈夫かな』というふうに不安になる時もあるのですね。正直な話。その用事をしている時というのも。作業所のスタッフからも『近藤さんがいる時といない時ではほんとに業務の進め方も違うんだよ』と言われることも最近は少なくありません。

だからそれだけ自分の、今の作業所でやっていることというのは責任が重いということもあるので、ある種作業所自体の信用問題に関わる部分もあるということが自分の中にもあるので、そういう責任感が今の作業所に入った時に強くなったという部分も正直ありますね。

そこはやはりお客様からの励ましとかお褒めの言葉というのも、中にはちょっと自分の病気のことについて心配してくださる方もいるので、その方については、個別にメールやお手紙でコメントを書かせていただいているのですけど、簡単にコメントを書かせていただいている、作業所のスタッフに相談した上で。自分はこういう経緯で発症したとか、今はこういう状況であると。そういうのでもっと作業所を知ってほしいし、近藤健亮はこういう人物なのだというのを知ってほしいなというふうに思っています、今は。」

Q.休みの日の楽しみは?

「テレビやラジオを聴いたり、あとツイッターとかフェイスブックなんかで、いわゆるSNSのほうで日々のニュースとか出来事、自分の趣味の話題を発信していますね。特にフェイスブックのほうは2年前、2015年の元日にアカウントを作ったのですけど、元々は精神科医療にかかわらず胃腸とか心臓とかの病気、そんなに重いものではないのですけど、そういった部分も含めて医療の話題とか障害福祉の話題などを自分のフェイスブックを通じて多くの人に知ってほしいという意向が強く、最初はそういうことをやっていたのですね。

ただなかなか読者が増えなかったので、今のようにニュースとか話題とかで出来事、自分の出来事や趣味の話題をやるようにフォーマットを変えたら読者もついてきたという感じなのですね。あとはアイドルの部分につながるのですけど、10代の頃から、ずっと続けているのですけど、女性アーティストや(女性が)メインボーカルのグループ(の曲を聴く)とかですかね。自分の学生時代の時はいろいろな女性アーティストが流行ったのですけど、テレビの音楽番組を通じてそれを拾うという、(どんな)アーティストが流行っているかという(情報)を拾っているという感じだったのですね。当時は地上波だけですけど。

(で、これは)不謹慎と捉えられかねないとも限らないかもしれませんけど、3.11、東日本大震災が起きて被災地をAKB48さんが慰問するまでは、これが朝の情報番組で(それが)頻繁に取りあげられるまではまったく関心がなかったですね。そういったものには。それが翌年(その年)の夏休み以降行く機会がありまして、その時にたまたまAKB48さんのパフォーマンスを生で見るという機会があって。まあそれを機にアイドルも好きになったのですね。

あとなぜ乃木坂46さんが好きかというのは早い話が自分の32歳の誕生日がデビューした日なのですね。だからある意味、これも1つの絆であるという認識もありますね。それに普段の自分の中でも支えになっていますね、それ以外でも。」

<< 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  >>