統合失調症と向き合う

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堤 敏行さん
堤 敏行さん
(つつみ としゆき)
1962年(昭和37年)生まれの55歳(収録時)。26歳で特別養護老人ホームの介護職として働いていた時に発症。入院体験は2回。現在はデイケアなどに通いながら、無理の無い範囲で介護のボランティア(傾聴、オセロゲームの相手など)を行っている。母親と二人暮らし。
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8治療で辛かったこと
Q.治療中、いちばん辛かったことは?

「閉鎖病棟に入院した時が、20(代)後半かな、衝撃的でしたね。初めて閉鎖病棟入った時は。最初の入院の時。何回か入院したけど、最初の時の閉鎖でびっくりしたと。保護室は幸い入らなくて済んだのですけど。

閉鎖だから男性ばかり、で、鍵を閉める。あの頃もうひっちゃかめっちゃっかだったのですよ、病棟自体が。デイルームみたいな畳の部屋の一角にあって、そこになんか布団とか、いろいろなものが山積みになっていたり。あと部屋に行くとその部屋の人が落書きしたり、壁に。

トイレにも、扉にいろいろ描いてあったり。で、あの時、あまり衛生的ではなかったのですね。トイレで、はみ出ていたり、便器から。だからそのあと使いたくなくなったり。それもあったけど、やはり鍵を閉めるということがストレス。看護師さんが帰る時に鍵を閉めて帰っていくのが、何か取り残されたようで……。

夜勤の人はいるけど、日勤の人は、5時頃鍵を閉めて出ていって、その時に、『あ、鍵なんだ、この病院』という……。

入院だったけど、短かったのです。半年ぐらいの時。今はもう俺が糖尿で入院した時には、改築していたのか、全く新しくなったみたい。

(辛かった?)閉鎖病棟は。開放に行ったら、独特の患者とのコミュニケーションができて、仲の良い人ができるというか。(閉鎖病棟の入院は)1か月ぐらいかな。だいたい、俺が入院すると閉鎖(病棟)に行ってから開放(病棟)に行く。

全然違う。開放(病棟)だと鍵をかけていないし、自由に外へ出入りできるし。あの頃、今はたばこ吸っていないけど、たばこを吸っていたからたぶんたばこも自由に吸えたし。

その当時の人とは(今は)交流ないです、何年も。地理的に離れているので。それに、その時親子関係みたいな人がいたけど、その人はたぶん亡くなったかも知れない。」

Q.あなたにとって仲間というのは誰ですか

「今のクリニックで知り合った、デイケアで知り合ったメンバーさんですね。昨日も一緒にお昼を食べたけど。いろんなことを話せて……。」

Q.今、気をつけていることはありますか

「気をつけていることは………、気をつけるというかあまり気にしないことかな。自分のその………経験というか、やはり本を読んだのがあるのかな。瀬戸内寂聴さんの本とか、美輪(明宏)さんの本とか読んでいたから、というかまあ、なるようになるというか。

子どもの頃というか学生の時はこんな感じだったですよね。でも、ここまでははじけていなかったけど、ものを考えやすかったけど、でも、地はこうだったと思うのですよ。ただ親父からの圧力と病気の、自分の症状のことで悔やんだりしたのが………。

でもどうだろう、精神的には今のほうがあれ(良い)ですけどね、統合失調症で悩んでいた時期から見れば。内科的にはあれ(良くない)なのだけれど、でも、楽というか……。

精神だと出口がないような感じがしますけど、糖尿だとまだ治療の方法があるみたいな感じがして、やる気さえあれば糖尿はちょっとは良くなるのではないかと思って。精神のほうはもう、どん底だと何も手を打つあれがないというか、誰も助けてもらえないというか。

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