統合失調症と向き合う

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Y.Y.さん
Y.Y.さん
1990年(平成2年)生まれの24歳(収録時)の大学1年生。高校3年生で体調を崩し、精神科を受診する。2つ目の通院先にあるデイケアに通いながら受験勉強をし、2014年に大学に入学。福祉関係の学部にて勉学中で、社会福祉士や精神保健福祉士の資格取得を目指している。入院の経験はない。両親との3人暮らし。
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11メッセージ
Q.同じ病をお持ちの方やご家族へメッセージがあればお願いします

「長いので予めご了承ください。これはまあ、僕の考えなのでもちろん『いくつか異論などは、どうぞ』みたいな覚悟の上で申しあげます。

世の中、一寸先は何が起こるかわかりません。かつての僕に今の僕のことを話しても信じてもらえないでしょう。それほどまでに未来は予想できないものなのです。だから無理して変わろうと思う必要はないと思います。頑張って思い切って変身しようだなんて思わなくていいのです。

小さなきっかけや小さな出来事の積み重ねで明日は変わることもあります。その変わり様はとても小さくて目に見えず肌で感じることもできないかもしれない。でも、昔の人が言ったように『雨だれ石を穿つ(うがつ)』こともあるのです。まず今のままでも十分素敵で素晴らしいと考えることが大切なのです。それにたとえ一人ぼっちだと感じてもこの世のどこかには仲間がいるものです。もし本当に孤立してしまっているのなら作ればいいと思います。

ちょっと話はそれるかもしれませんが、『さあ、夢を叶えるのはみんなの勇気。それは僕たちの奇跡』という歌にも歌われているじゃないですか。また、昔、プルタルコス**という人がいたのですけど、その人も言いました。『人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある』と。僕だってそりゃあ、もっと勇気があればと思うし、恐いものは恐いです。でもそれを完全に成し遂げようなんて思わなくてもいいと思うのです。きっとそれができるのは神様とか英霊とかそういった存在なのでしょう。はるか遠い理想の姿でしょう。ですが、それに向かっていくことはできると思います。大切なのは目指すことです。

僕は人間にとって最も大切なものの一つに成長があると思っています。身体が成長するように心も成長できます。ただし、それには身体に起こるように成長痛はついてきます。僕も今でもとても辛く苦しいことがあります。でも、その苦痛にすら僕は愛着を感じます。はい、僕は変わり者です。その苦痛は恐怖です。それに耐え、先に進むことこそ成長であり、誇り高き姿であり、勇気が身につく過程だと思います。

最後に僕は病気とも薬とも生涯つきあっていくつもりです。だって、この身体や心の同居人じゃないですか。それにこの病のお陰で僕はいくつもの大切な出会いができました。そういう意味で僕は僕自身に発現した統合失調症にすら友情を感じます。たしかに病気のために失った物もあります。でも病気のお陰で得た物もたくさんあります。それは僕にとっての奇跡なのかもしれないと思っています。

(最後にもう一つ言い忘れていました。『GO! GO! MANIAC』***という歌にもある通り、『楽しんだもんが勝ち』だと僕も思います。病気や障がいを得れば、気が滅入るでしょう。でも見方を変えたり、目を凝らしたり、よくよく考えれば楽しいこともあるかもしれません。この世界には楽しいことだってたくさんあるはずです。どうせなら楽しんだほうが良いと僕は思っているし、そう思うことで気が楽になったこともあります。せっかくなら、楽しんで生きていきたいと僕は思うのです。:Y.Y.さんの加筆)」

日本のアニメアイドルμ's(ミューズ)の歌から
** 帝政ローマのギリシャ人著述家。著作に『対比列伝』(英雄伝)などがある。
*** 日本のアニメ発のバンド「放課後ティータイム」の歌から

Q.インタビューに協力くださった理由を教えていただけますか

「こうして顔を出していろいろとやるということは、結構、僕自身迷いはあったのですけど、まあ、その覚悟を決めて顔を出したわけです。それこそほんとに迷ったりとか、苦しんだりとか、いろいろと考えている人達に対して僕の考え方を知ってもらえて、もしそれが心に響けば、響いてくださって、希望となってくれたらいいかなと思っていて……。まあ、僕を目指してくれと言っているわけではないですけど、中にはこんなふうにしている人もいるんだよということを少しでも知ってくれれば、その道が切り開けるのではないかなと思って。で、少しでもその希望になってくれたらいいなと思って、お受けいたしました。」

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