統合失調症と向き合う

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渡邉康造さん
渡邉康造さん
(わたなべ こうぞう)
1964年(昭和39年)生まれ、49歳(収録時)。18歳(高校時)で精神科を受診する。何度かの入院を体験。現在は、地域生活支援センターなど地域の社会資源を利用しながら毎日を送っている。身体に障害を持つ方へのボランティア活動も行っている。3人きょうだいで、現在は母親と同居。
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5社会生活について
Q.大学生活はいかがでしたか

「大学は27歳まで行ったのです。二十歳から2回も復学しているのです。休学1回に退学1回、で再復学、2回復学して27歳で卒業しました。

トレーニング(運動)の結果、(体力が)バリバリになったから、自分は就職活動を何しようかと考えていたけど、とっさに警察官の参考書を取り寄せて、『もうどこでもいい』と思って警察官(採用試験)を受けました。県警を。通っていました。それが26歳の夏に通ったのですよ。(卒業)ギリギリでしたね。

(でも)2次試験が落ちたから、面接が…。卒業見込みで(通ったのですが)。卒論が順調でなかったのです。順調でなかった。普通、大学4年の夏ぐらいで、早い人は卒論を書き上げるのですけど、僕もそういうふうになりたいと思っていたけど、なんかちょっとしっくりこなくて、ズルズルといって…。

あとは、親父と口論になりました、『早く就職活動をしろ』とか。その時もまだ走っていたのですけど、26(歳)の秋頃までは。それで、無鉄砲なことにアルバイトしようと思ったのです、新聞配達の。朝も早く起きられるからと。『新聞配達、よく働くな』なんてみんな話をしていたけど、2日で辞めました。新聞配達という見習いは、夏にするもので、冬にすると日が短いもので見えないのです、朝5時頃。それで失敗したなと思ったのですけど。

そのあとは入院でした。卒業していなくて、大学を。まだ卒論も提出していなかったので。11月か12月。入院になったら、また同じような(頭)かぶった感じがきつくてですね。でも入院といったら正しく服薬するのが条件だから。結局、卒論は入院中に、2月ぐらいだったかな、2月の後半ぐらいに郵便で送りました、大学に。それで裏口入学みたいにして卒業式にも参加せずに、別の場所で卒業証書をもらって卒業しているのです。事務室の空き室みたいなところで。」

Q.27歳で大学を卒業したあとはどうされましたか

「27(歳)、28(歳)は1年間親父に休養させてもらいました。で28歳から植木の会社で臨時職員として働きました。それはもう重労働で、50キロ、60キロあるような植木を、ユニック車のなんていうんですか、ユンボのこう動くやつで操作して移動させて、トラックの上に登って運んだりしていました。1年半ぐらい勤めました。29歳の夏まで。やっぱりきついから続かなかったのでしょうね。

で、オーシャンドームに関係があって、とにかく行ったのです。そしたら、すぐ採用された、アルバイトに。正社員じゃなくて。オーシャンドームでいろんな研修などを受けて2〜3年ぐらい働いたのですけど、29歳から31歳までは9割ぐらい働いたのです。夜、ナイトショウもあったので夜も働いた記憶があります。

その時の体重は、60キロぐらいじゃないですかね。60(キロ)前半か、良くて。安定剤は飲んでいなかったですわ。30(歳)、いや29(歳)ぐらいで飲んでいた時はあったけど、30(歳)とかは、飲んでいなかった。」

Q.病院には通っていましたか

「通っていない、定期的には。その時期がだいたい1995年、31歳ぐらい。福祉法改正(の時)だから。その時期は、リスパダールなどが出た時期だから、ほんとは(病院に)行っておいて、知っておけば良かったのに知らなかったもので。僕は2000年以降になってリスパダールというのを初めて知ったのです。

精神科の安定剤の理解がなかったですね。31歳の春から32歳までに2回ぐらい入院していると思うのですけど…。やっぱり(頭)かぶった感じとか自律神経失調症のような症状があるのはきつかったので。で、オーシャンドームを32歳で辞めて、その間、あと3回ぐらい入院しています。それはうちの父にあたったりして、反抗したりすることが原因だったみたいですね。もちろんサイコに対する関心のある本がその頃もあったから、安定剤を極力否定していましたね。でも(薬を)飲んでいた時期もありました。

で、33歳になったばかりの時に、うちの父が県病院に入院するようになって…。大動脈瘤だったのです、うちの父親は。59歳で発見されました。父は美術の先生だったのですが、58歳で退職して64歳で亡くなったのです。今でも思うのですが、うちの親父が学校の先生で良かったなあと感じたりしますけど、(その)半面ね、やっぱり、うちの父に対する反感の念があって、恨みの念が多少ありますね。取れないですわ、それが。やっぱりねえ、精神科に何回も入院したのはきつかった。家族で僕だけですもの、こんな目にあったのは…。」

リスパダール(リスペリドン):非定型抗精神病薬
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