統合失調症と向き合う

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A.T.さん
香菜世さん
(かなよ)
1989年生まれの24歳(収録時)。中学生の時に症状が出現し精神科を受診する。中学・高校と学校でのサポートを受けながら学校生活を送った。家族(両親、兄・弟、犬が一匹)と同居し、働いたこともあったが、現在は家事を中心とした生活を送っている。自身の詩集(『ココにいるよ』、文芸社、2012年6月)を発行し、NHKのハート展で受賞した経歴をもつ。収録には母親も同席し、親としての気持ちも一部、掲載した。
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15病気への偏見や差別について
Q.病気への偏見や差別を感じたことはありますか

「ありますね。これは、結構最近なのですけれど。電車に乗るのに、都営線は手帳を持っていると無料じゃないですか。でも、私、その時、乗車パスの期限が切れていて、でも手帳を見せれば乗れるんだと思っていて、手帳を見せて乗ろうとしたら、その時の駅の係員の人が新任さんだったのか、『乗れないんですけどお。でも、あれえ』とか言いながら通してくれて。で、降りる駅で(パスを)見せながら降りたら、『それ違うよお』と言われて。『え、どう違うんですか?』と、訳を説明しようとしたら、『あ、もういいから行って行って!』と言われてしまったんですよ。それも乱暴に。その時に、『あ、こいつ精神障害者だから、何言っても無駄だなあとか思われたな』と思ったことが、すごく腹が立って…。『あ、これが世間的に言う差別みたいな感じなのかな』と思ったのです。

ほんとにその時は腹が立って…。でも用事があって時間がなかったので、なんとも、その人に文句というか、何も正しく冷静に言えなかったのですけれど、帰りは悔しかったので、電車に乗らずに歩いて帰りました。

比較的幸せだったなと思うのですけれど、それまで差別というか、全然感じたことがなくて。逆に、私のほうが、なんて言うか、出会った人に『実は、私ちょっと障害を持っているんだあ』なんて結構おおっぴらに言ってしまうほうなのです。それに対して、『ふーん』と言って離れていくような人ならその程度の人なんだなと、私が逆に引くんですよ。だから、たぶんそんなふうに(差別を)感じたことがないのかなあと思うのですけれど。

でも、乗車パスを改めて作りに行った駅では、丁寧に対応してくれて、質問したことに対して、ほんとに丁寧に分かりやすく説明してくれたので、やっぱりなんて言うか、ほんとに知識があるかないかの違いだと思うんですよね、差別って。知識があっても差別する人は最低だと思うのですけれど、知識がなくて差別するんだったら、まあしょうがないと思うところもあるのです。」

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