統合失調症と向き合う

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辰村泰治さん
辰村泰治さん
(たつむら やすはる)
1937年生まれ。2011年6月で74歳。大学生時代に発症。数回の入院、そして最後は22年間の長期入院生活を経験し、11年前に退院。現在は、社会福祉施設の運営するグループホームに住まい、いくつかの仕事にも従事している。音楽鑑賞と読書を楽しむ毎日を送っている。著書に『辰村泰治の七十年』(やどかり出版)がある。
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1現在の生活について
Q.現在の普段の生活、仕事は?

「仕事は、4つあるんです。まず1つは、精神障害者社会福祉施設『やどかりの里』の食事サービスセンター。授産施設で仕出し弁当屋なんですけども、主に食器洗いの仕事をやっております。徒歩ですけども、配達などもします。1日4時間半ぐらい週に4日働いております。火曜日は休みですけど。

もう1つは、『やどかりの里』は出版事業もやっておりまして、特に患者、当事者の経験談を、ブックレットと言いまして冊子を出しておりまして、そのブックレット編集委員会の委員もしております。

それから、『やどかり研究所』と言いまして、主に精神障害者の社会福祉についての研究をする施設があり、そこで副代表が3人いるんですけど、そのうちの1人をやっております。

それから、もう1つは、『やどかりの里』は日本で、1970年から、今から40年前からこういう施設としての活動を始めておりまして、日本でも古いほうなので、当事者とか職員の話を聞きたいという方が全国にいらっしゃいます。学校、お役所、保健所、そういうところから講演の依頼が来ますので、講演をする講師登録学習会というのがありまして、そこの会員でもあります。

そうそう、もう1つ仕事をしていました。6年前から、たぶん障害者自立支援法の結果だろうと思うんですけども、保健所が中心になって、社会的入院の患者いますよね、今、全国で30万人ぐらいの入院患者のうち7万人ぐらいは社会的入院している。病状が治まっているけども、いろんな社会的な理由で退院できない患者を、なるべく厚生労働省としては出したいということで、退院促進事業というのを全国的にやっております。さいたま市も6年ぐらい前からやっております。そこで、病気の経験のある当事者なんだけども症状が落ち着いているようだから、医学、医療のこととか、精神医学のこととか、福祉のことを勉強させて、研修ですね、で、自立支援員と言いましてね、患者の自立を支援する役職をいただいて、もう6年ほどやっております。

お医者さんとか病院の職員とか福祉施設の職員とかが、毎月1回集まって、退院連絡会というのをやっているらしいので、そこから指令が出て、今度、自立支援員の中の誰をどこの病院の患者に同行支援させようとか、そういうような仕事をやっております。ただ、財政的な裏づけがないらしいんですね。あと1年分ぐらいしか市から我々に払う給料の用意がないので、あとどうなるか分からないんですけどね。

(今まで支援した人は)6〜7人ですかね。6年ですから、1年に1人ですね。今度、交流会をやるから、何月何日に何病院に来てちょうだいとか連絡が入った時に行けば良いだけで、その時に自分の体験談とか、病気とか福祉施設での生活について話してやってほしいと言われております。」

障害者自立支援法:障害者に費用の原則1割負担を求め、障害者の福祉サービスを一元化し、「保護」から「自立」に向けた支援をしようという法律。2005年(平成17年)10月31日に成立し、翌2006年(平成18年)4月1日から順次施行されている。

Q.仕事の中で一番好きなものは?

「食器洗いが大好きです。食器洗いは、スポンジに洗剤をつけて、こうしてこすればピカピカになりますね。しかし、原稿を書いたり、講演をしたりしても、一体これで良かったのか悪かったのかはっきり…、ま、もちろん講演なんかの場合は拍手がたくさんあれば、『良かったのかな』なんて思いますけども、それがはっきり分かる、達成感があるのは、食器洗いですから。」

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