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川崎 優子さん
川崎 優子さん
(かわさき・ゆうこ)
兵庫県立大学看護学部助教。専門はがん看護、遺伝看護。日本緩和医療学会の緩和ケア普及啓発事業『オレンジバルーンプロジェクト』の事務局を担当。週に1度、兵庫県立がんセンターのがん相談支援センターで相談員をしている。
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2不安を必要最低限にするために

「がんになったときに、だいたいこんな感じという見通しが立たない場合、人は余計な不安を抱えてしまいます。私たちとしては"必要最低限の不安でいてほしい"というのがありますので、早い段階からいろいろな情報提供もするし、状況を予測してサポートしていくことが必要ではないかと思っています。

セルフケア能力が高くて、ご自分でも必要な情報をウェブで検索できて、必要なサイトに行って、意思決定もご自分でできるという方は、医療者の関わる部分はほんの少しになるかもしれません。そういう場合には、敢えて医療者が過剰に情報提供をする必要はないと思うのです。なので、患者さんをみてどこが必要なのか、どれくらいのセルフケア能力なのかというのを見極めながら、情報を早い段階から出していくことが大事ではないかと思います。」

●患者さんと医療者をつなぐ役割

「患者さんというのは、主治医に"なるべく負担をかけたくない"、先生にとって"いい患者さんでいたい"という思いが潜在的にあり、どうしても短時間で正確に症状を伝えることができないようです。たとえば『家で痛みをこらえて、あまり寝られないという状況が1週間続いて、外来を受診したけれども肝心なことが言えず、検査と簡単な説明だけを受けて帰ってきてしまった。帰りに相談支援センターをみつけて、このまま帰ってはやはり同じ夜を迎えてしまうのでどうしたらいいだろうか』と相談室にいらっしゃる方もいます。そうした場合、患者さんがOKとおっしゃれば、主治医にもう1回おつなぎしてなんらかの処方ができるようにすることもありますし、また院外からいらした方にはそれができないので、『先生にこういうふうに伝えたらどうですか』と(医療者への)伝え方をご説明したりすることがあります。"伝える"ということが状況的、技能的に難しいという現状があるのではないかと思っています。」

●患者さんの意思決定をサポート

「つらい状況があったり、いろいろなサポートが患者さんの周りにない場合、自分で意思決定するのはかなりエネルギーがいります。エネルギーが低下している方に『これはあくまでもあなたが選択することです。ここにあるどれかを選んでください』と強要することは、それ自体新たな負担になるのではないかと思うことがあります。そこで、『私が医療者として、あなたの代わりに決めますよ』というのではなく、可能な範囲ではその方が意思決定できるようなサポートをしたり、(意思決定をする)エネルギーを上げるためのサポートをしたりします。それができない場合にはやはり"誰かにその意思決定を任せる"という選択肢があってもいいのではないかと、最近感じています。」