がんと向き合う

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工藤裕美子 さん
(くどう・ゆみこ)
ブーケ(若い女性オストメイトの会)代表
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姫路市出身。23歳(1988年)のとき直腸ポリープ切除後、直腸がんと診断され、手術を受けて人工肛門を造設。退院後、仕事や妊娠・出産など女性のオストメイトの悩みを相談する機会や情報がないことを痛感。1999年に仲間と患者会(ブーケ)を作る。年3回会報誌を発行、「どんな状況でも直接手にとって読むことができるものを届けたい」という思いで全国の会員に発送している。
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5理解してもらえない寂しさ

「昭和63年3月に結婚をして、5ヵ月後に『直腸がんでストーマ造設』ということになりました。私が23歳、相手が24歳でした。向こうも病気のことがわかって『手術してほしい』と泣いて頼んできたのに、(ストーマが)理解ができなかった、受け入れきれなかったのでしょうね。結婚して楽しい新婚生活のはずが、急に奥さんが病気になって障害者(ストーマを永久造設すると通常、身体障害4級に認定される)になってというのでは、彼のほうもかなりつらかったのかなとは思いますが。

何かだんだんと気持ちが合わないなと思い、手術して1年ぐらい経ったとき、『結婚前にストーマになっていたらどうしてた?』と聞いたのですね。そうしたら『悪いけど結婚してなかったと思う』と言われて、『えらい正直に言うてくれるんやな』と思いながらも、『でもそんなふうに思っているのだな』と思いました。しかし離婚してひとりで生きていくことを選択する自信がまだなくて、気持ちは離れていきながらも、とりあえずその生活は続けていました。

ときどきくじけそうになりながら、結局6年ぐらいは一緒にいました。普通にどこかへ出かけて楽しく遊ぶということもあるのですが、体のことを理解してもらえていないというのがあると、何かのときにはちょっと寂しくなるのです。それでだんだん『このままだとしんどいな』と思うようになり、自分のほうから『もう別れたい』と話をしました。その頃には多分、日本オストミー協会でいろんな人に出会っていたというのもあり、『なんとかなるかな』と思えるようになってきていたのだと思います。」