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濱 敏弘 さん
(はま・としひろ)
癌研有明病院 薬剤部長
1980年明治薬科大学卒業。国立横浜病院、国立療養所中野病院、国立国際医療センターを経て、2006年より癌研有明病院に勤務。がん専門薬剤師認定試験委員長を務める。
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1抗がん剤とは

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「抗がん薬は、がん細胞のDNAやRNAの合成や細胞分裂機構を阻害する作用のある薬剤です(右表)。DNAやRNAの合成を阻害する抗がん剤は、作用する場所や方法によって、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、プラチナ製剤、DNAトポイソメラーゼ阻害剤に分類されます。また細胞分裂を阻害する抗がん剤には、植物アルカロイドとタキサンという種類の薬があります。数え方にもよりますが、100種類くらいの抗がん剤があります。」

●抗がん剤治療の目的

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「一般的に、固形がんの治療には手術、放射線療法、抗がん剤治療の3つの方法があります(右図)。手術と放射線療法は局所療法といいます。がんが臓器の中にとどまり転移がみられない早期がんの場合には、手術をすることによって取り除いてしまうことが第一優先であり、治癒が期待できます。切除ができない部位の場合でも局所にとどまっているがんは、がんとその周辺に放射線を照射する放射線療法が有効です。

一方、抗がん剤治療は全身療法といい、ふたつの目的があります。ひとつは補助化学療法といいます。補助化学療法にはふたつあり、ひとつは術前補助化学療法といい、手術の前に抗がん剤を投与してがんをなるべく小さくしてから手術をすることを目的とします。もうひとつは術後補助化学療法といい、手術のあとの再発予防を目的として一定期間、抗がん剤を投与します。

もうひとつの目的は、すでにがんが全身転移などをして手術ができない場合に行う全身化学療法です。この場合、がんの治癒を期待することは難しく、延命や症状を緩和することが抗がん剤治療の目的となります。」